一 場
![]() |
晶子 「ねーねー未来! 今夜の同窓会、このスーツどう? 五年前に買ったやつなんだけど、入ったのよ! この辺がちょっときついんだけどね・・ あ、そうだ、夕飯の用意はしてあるから、 塾から帰ったら温めて食べてね。 それから、月謝はテーブルの上に・・・ねー未来!聞いてるの?」 未来 「わかった!」(話の途中で部屋から出て行く) |
![]() |
晶子 「あ、お帰りなさい。今日はどうだった?」 英治 「ああ」 晶子 「 まー、まだしばらくは失業保険もあることだし、 貯えだって少しはあるし大丈夫よ! きっといい所がみつかるわ。 あっ、そうそう私も働こうかと思うんだけど・・。 駅前の花屋さんが店員を募集してるらしくて。。。。 お花屋さん・・ ・・・・・・ 夢だったのよねえ・・・・」 英治 「夢ねぇ・・」 |
![]() |
電話の音 晶子 「はい、はい〜」 ♪定年前にして狂い始めた俺の人生設計図 ハローワーク片手に 朝から晩まで職探し 職種・給料・福利厚生・何より大事な俺のプライド すべてを満たす条件の会社、仕事、会社、仕事 社会の波にのまれた奴ら 鈴木は酒に溺れて荒れた日々 加藤は借金背負い 命を絶った 逃げてどうする? 死んでどうなる? 俺は負けない 弱音など吐くものか |
![]() |
晶子 「はいもしもし景山ですが..お義父さんが何か? 青いポストですか?はい... ご迷惑おかけして申し訳ありません。」 未来 「おじいちゃん、ボケちゃったんじゃない?」 晶子 「あなた、どうします?」 英治 「引き取るしかないだろう。 おふくろが死んだ時にそーしときゃよかったんだ。 火事でも起こしたらどーするんだ。」 晶子 「そうだけど・・。あーもう、こんな時にどうして? 困ったわ・・ とにかく、私、今夜は同窓会に行って来ますね。 夕飯は用意してあるから、温めて食べてね。 もうすぐお風呂沸きますけど、入った後は換気扇回しておいてね。 えーっと、忘れものないかな・・・ それじゃ、なるべく早く帰りますから、よろしくね。」 ♪「お風呂が湧きました」 英治 「うるさい!」(上着をはおり、部屋から出て行く) |