十場





(フユ婆さんの様子をコソコソと見に来た人々。そこに役人が登場)

役人 「お触書で知らせておいた治水工事の件だが・・」

ハル 「治水工事ですか?」





勘吉 「おい!クマ!ハチ!お触書はどこにやった?」

キ ヨ 「何て書いてあったんだい?」




(クマとハチが、そこにあったお触書を思い出す様に再度読む)

ハチ 「ふゆばぁに・・・おいて」

クマ 「フユ婆・・・老いて・・」

役人 「冬場に於いては」

ハチ 『やまにぃ・・は・・いき・・にくくも』 

クマ 「山に廃棄・・憎くも」

役人 「冬場に於いては 山には行きにくくもあり」

                




                




勘吉 「てめーら! このーーーー! 人騒がせなマネしやがってーーー!」

芸者 「って事はーーー! おフユ婆さんは、どこにも連れてかれないってことだね!?」

渡世人 「あ、これにて一件落着〜〜!」



♪めでたやめでた
  (全員) 心ハレバレ めでたや めでた 心晴れ晴れ めでたや めでた
       大石団子の婆さんが いつものようにいてくれる
       理由(ワケ)なんてないさ ただいてくれりゃ 灯がともる

  (ハル) おっかさんに教わって 繋げて行きたい この味を
       みんなの力をお借りして育ててみたい この命 
       心晴れ晴れ めでたや めでた

  (ウメ)  乳はアタイに任せてね!

  (勘吉)  乳は出ねーが 父親代り買って出た!

  (キヨ)  旨い野菜で元気に育て!

  (ハチ)  字はオイラが教えてやるよ

  (子供)  大きな石のほとりに来れば 甘い香りの風が吹く

  (全員)  理由(ワケ)なんてないさ みんなここが 好きなのさ
       心晴れ晴れ めでたや めでた
                




                




カゴ屋 「婆さん、まだこの中にいますぜ!」

フユ 「水汲み水汲み・・」

カゴ屋 「じゃあ、この中にいるのは一体誰ですかいな?」

勘吉 「こりゃ、婆さんじゃのーて、爺さんじゃないか?
    おい! 爺さん! 起きろ! 爺さん! どーした? (善右衛門を揺さぶる)」

キヨ 「この人、越後屋のご隠居さんじゃねーのか?ご隠居さん、息が弱ってるよ!」

渡世人 「いい町医者を知っているから案内するぜ! このままカゴで運ぼう!こっちだ!」

越後屋 「おとっつぁん! 何でこんな所に?返事をしてくれ!」

(ハッと気づき「ええ加減にせー」の紙を拾って広げる)

(芸者が役人の図面を見ている)

芸者 「この辺り一帯を川にしちまうってことですか?
             ここは確か越後屋の屋敷が・・・・・」

                



(越後屋は慌てて図面を取り上げ広げてたたずむ)

(ハルは越後屋が落とした「ええ加減にせー」と書かれた紙を見ながらたたずむ)